沖縄県の米軍普天間基地移設をめぐる県民投票に明確な結果が出た。有権者の4割が反対に投票したのである。当初玉城デニー知事が宣言していた有権者の4分の1が反対票を投じれば、国と米国政府に働きかけるとしていた水準に届いた。県民の明確な意思といっていいだろう。

日本の非沖縄県民はどう受け止めるべきか。法的拘束力はなく、これをもって政府が動くことはないだろう。が、一般国民としては普天間移設はやめたいという意見をもっと重く考えたほうがいい。真剣に討議する場をつくり、一度白紙に戻すという判断があってもいいのかもしれない。

鳩山元首相の「最低でも県外」という発言はあまりに無責任だった。なんの段取りもなく首相が発言したからといって動くような問題ではない。納得づくで進める力量がいる。知恵がいる。戦後積み重ねてきた日米両政府の歴史がある。それを無視して白紙に戻すのはむしろおかしい。

ただ鳩山政権の頃と明確に状況が変わった。米国の政権がトランプ政権になったのだ。トランプ大統領は日本と韓国に米軍の駐留経費について、負担を増やすよう求めているとされる。おいそれと沖縄を手放さないだろう。中国やロシアをけん制する意味でも沖縄という足掛かりは米軍にとって重要だ。

しかし、ポピュリズムが信条のトランプ氏。沖縄県が日本政府を飛び越えて米国政府に陳情した場合、耳を傾ける可能性はある。大半の日本人が頬かむりしている問題を、トランプ氏が取り上げてしまったらどうする。北朝鮮拉致問題も日本政府よりトランプ氏を頼みにする空気がある。政府形無しだ。

そういう国際環境の変化を受けての今回の県民投票。ここは、かえろ、いやかえない、の平行線でなく、やはりテーブルに付き直すところから始めるほうがいい。最終的に辺野古沖移設となってもいいから、もう一度、話し合いの態勢を作り直すべきだ。知恵を出し合わないといけない。
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