▼沖縄県民投票の結果

有権者数

115万

投票率

52.48%

賛成票

11万

反対票

43万

どちらでもない

52682

無効票

3497

 

沖縄県の県民投票は今後の地方自治の在り方を考えるうえでも、有意義な結果を残した。もちろん法的拘束力がないので、政治家が真摯に向き合わない限り、この結果をもって政策が動くということはない。住民投票をもとに何か政策を動かせるかどうか。沖縄の問題とは別に考える材料としたい。

 

①反対票の重み

43万票を集めた反対。これは有権者の約4割にあたる。当日の投票総数に限ると7割。知事は4分の1を超えた賛否を日米政府に働きかけるとしていたので、25%超えはかなり意味のある数字とみていいだろう。もちろん知事発言を県民がどこまで意識したかは、それぞれ見方が異なるだろう。独自のハードルをもっと明確に設けてもよかったのかもしれない。住民投票は法的拘束力を持たない。政治パフォーマンスと言われるようにしないためには、どの水準までいったらどうするということを明確にすべきだ。有権者の4割というのも微妙な水準ではある。やはり投票だけで世の中を動かそうとするなら、数字の扱いについて事前に決めごとをしておく必要がある。

 

②「どちらでもない」は5万

この3択方式はあまり意味がなかったということになる。結局、投票になれば賛否をはっきりさせなければ意味はない。「どちらでもない」という人の多くは投票にいかないだろう。政治的な産物にすぎなかった。もちろん投票にいかなかった人は潜在的な賛成者ということもできるだろうが、そんなのわかりっこない。投票をやった以上、投票結果で物事を判断すべきだ。どうせ3択にするなら、具体的な方向性を示したほうがよかったかもしれない。「辺野古移転」「普天間のまま」「県外移設」とか。これでは投票は実現しないか、あまりに生々しすぎて。だが、投票が政治的パフォーマンスでないというなら、ここまで知恵を絞った設定にして、重みをもたせる手はあったろう。

 

③投票率の50%超え

選挙のたびに投票率は問題になる。どんどん低くなっている。関心をもってもらえないと嘆く声もあるが、やむを得ないだろう。政治や行政に問題があると感じていないのだから。左右に政治勢力が分断されていれば、有権者もそれなりに行動をおこす。しかし、民の暮らしにさほどの問題がないのなら、投票所には行かない。こういう県民投票は5割を超えるのだから、政治に関心を持てれば行くということだ。何も問題意識がないのに投票所には向かわないのである。憲法に関する国民投票もそれなりの投票率に達するのではないか。もちろん投票率を上げる工夫はすべきだが、結果として高くならなくてもそれはいまの日本ではあきらめるよりほかない。

 

④賛成票の見方

この11万票はどうみればいいのだろうか。沖縄の専門家ではないから、どのくらいの反知事勢力があるかわからない。ただそんなに少ない数字とも思えない。圧倒的な反対かというと、実はそうでもないといえそうな水準ではある。結局、最初から反対票の扱いが決まっていないから、投票にも真剣さが出ないのだ。もしなんらかのハードルがあったら、「辺野古賛成」という声ももっと増えたかもしれない。ただ「どちらでもない」とあわせても16万票。微妙だなぁ。反対に迫ったといういい方はできないし。ただこの中にはとにかく普天間をやめてくれという声もあったのではないか。どうしても住民投票はきめ細かい民意をすくえないものだ。


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