統一地方選に関連したニュースを検索していて、熊本県錦町議会が自主解散したという話題をみつけた。茨城県美浦村、徳島県石井町も解散したようだ。いずれも統一地方選の首長選に足並みをそろえた選挙戦とすることで、経費節減につなげるという。錦町は首長選が春、議員選が夏となり、二度手間になるうえ、夏の選挙は高齢者にえらいのだとか。議員が自らの任期を削って有権者に配慮する姿勢は評価したい。

マスコミというのはえらいもので、時事通信は錦町議会解散のニュースで、ちゃんと賛否両論、掲載している。経費節減、投票率アップ、有権者の負担軽減といいことづくめのようにきこえるが、この記事では任期前倒しの唐突な解散では新人が出馬準備をしにくく、無投票に終わる可能性があるとの見方を紹介していた。なるほど。現職議員のエゴだけではない反対理由もあるのだ。

そう聞くと、ちょっと首をかしげたくなる。選挙をまとめてしまうのはいいことなのか。統一選を活用すると、大阪市民の場合、うまくいけば、府知事選・府議選・市長選・市議選を一日で片付けられる。それは便利かもしれないが、府と市で論点は違うはずだ。首長と議会に求める仕事も異なる。むしろ投票日がばらけたほうが、有権者もじっくり判断でき、多様な民意を示せるのではないか。

ただ、昨今の低投票率を考えると、地方の選挙はいつやるかわかりやすく決めたほうがいいのではないかと思う。個人的には春と秋、年2回ほど選挙の日をつくり、地方の選挙はどちらかに寄せてはどうか。こういう仕組みにすれば、徐々に無理やり任期を縮める必要もなくなっていく。もちろん国政選挙や大阪ダブル選のような突発的なものは除く。経費も無駄にならず、選挙に出ようとする人は計画を立てやすい。有権者も選挙の予定を織り込みやすい。

自民党の選挙戦術を語るとき、衆参同日選の可能性がよく語られる。政権の基盤が盤石で首相に人気があれば、一挙に安定した勢力を確保しようというものだ。基盤がぜい弱なときは、逆に選挙を避けようとし、党議員の不祥事で補選でも生じようものなら党幹部はあからさまに苦虫をかみつぶす。勝敗だけを考えると、妥当な判断のようにみえるが、やや有権者をばかにしている。やっぱり選挙というのはある程度定期的にあったほうがいい。権力への抑止にもなる。

地方議会の自主解散は理解できる。要はしっかりと民意をくみとれるかどうかだ。統一化にこだわるとよろしくない地域も出てくるだろう。まちの政治への賛否が偏り、議会を通じた議論が不活性になる恐れがある。今回の兵庫県明石市長選のように、間が一か月しかないなら、そろえたほうがよさそうだ。ダブル選にわく大阪は大きな政策論争が必要なのだから、むしろ1年に2度選挙をやってもよかった。税金はこういうときに使えばいい。

ちなみに地方議会の自主解散、地方議会解散特例法という決まりがあって、地方議員の4分の3以上の出席があって、その5分の4が賛成すれば自主解散できることになっている。ウィキペディアによると、東京都議会黒い霧事件の際にできたそうだ。そうなんだ。なにはともあれ、有権者よ、選挙を面倒くさがってはいけない。

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