14日、福島県大熊町が新たな庁舎の開庁式を開いた。安倍晋三首相も出席したとのニュースが流れた。今回はこの開庁式がどういう意味があるのか、まとめておきたい。

東京電力福島第一原子力発電所が立地するのは双葉町と大熊町。このうち大熊町は10日、放射線量の高い帰還困難区域を除き、避難指示を解除した。原発立地自治体では初めてのことだ。町西部の大川原地区と中屋敷地区が対象だ。この大川原地区が新たなにぎわいの拠点として整備されていく予定だ。

かつての大熊町の中心は大野駅周辺にあった。福島原発に近く、最近ようやく特定復興再生拠点の認定を受けた。帰還困難な地域にはあるが、特別に戻ってもよいとする地域のことだ。ここを整備するのにはなお時間がかかる。そこで大熊町は大川原地区に庁舎を設け復興を進めていくことにしたのだ。

帰還困難区域の解消はなかなか望めないから、大熊町は大野駅周辺と大川原地区を二枚看板として賑わいを取り戻すのであろう。だが、震災前の1万人の人口はどのくらい戻るか。町の計画では当面、2600人を目指す考えだが、アンケートからは1000人ほどしか帰還を希望していない。

これからは文字通りコンパクトシティを作り、少数の拠点に密集してもらったほうがいい。ゴーストタウンにせよというが、ふるさとに戻りたい人はいる。まして今回は原発事故に起因している。戻りたい人を素早く、かき集める。家の近くで生活することで、生活復旧を考えやすくするよう後押しする。

だとすると、大川原地区にできた新庁舎は戻りたいという人のシンボルタワーになる。ここで身をよせて、生活の足掛かりを築きつつ、将来を探るほうがいい。戻れない人を残念がっても致し方ない。戻れる人、戻りたい人を可及的速やかにシンボルタワー周辺に住まわせる。それが復興の近道だ。

人口減で消滅するのならやむを得ないが、原発事故でまちの灯を消してはならない。とにかく早く。時間がたてばたつほど、戻る人は減る。密集してにぎわう姿を見せられれば、外から見にくる人も増える。新庁舎を中心にそういう好循環をはぐくみたい。

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