参院選の開票が進んでいる。改憲勢力3分の2にはわずかに届かないようだが、安倍自民には手ごたえある勝利といえるだろう。やはり野党はもう少ししっかりとした候補者をそろえ、地域に浸透しておかないと。なにより政策的に与党に対抗できるものを磨いていなければ、時の勢いがない限り、幅広い支持を得るのは難しいだろう。つまり与党の失策頼みになってしまうということだ。「少し与党にお灸をすえねば」という有権者に期待しても限界がある。政治の安定という旗印の前では無力である。

そうした中、個人的に見逃せないのが東北の反自民の強さだ。6つの一人区で非自民は4勝。岩手、宮城、秋田、山形。4県ともに現職の自民候補が敗れた。選挙結果が意味するものは、復興政策、人口減、安全保障、どれをとっても政権の目配りは薄いということなんだろう。ぼんやりしていてはだめだという喝なのではないか。一人区の星取表を眺めていると、なんとなく中央から遠いところで反乱がおきているようにみえる。本州で自民は強いけれど、地方政策に穴があるんじゃないのか。

さて、独断で認定した「分権勢力」はどうなっただろうか。政策公約集をみて、地方自治の強化、分権の推進に熱心だと勝手に判定した政党は、国民民主、維新、社民、共産。どうだろう、今回の参院選では勢力を伸ばせなかったとみてよさそうだ。地域の活力を高めるために、自治体の形を変え、国に対する権限を強化する、そんな動きは選挙後、出てこないだろう。立憲は議席を増やしたので、住民投票の活用は進むかもしれない。

自民と公明が地方政策に関心がないということはない。たぶん補助金を配って、地方経済を支えるということはやる。だが、地方の自主性に期待して、今の構造を抜本的に改めるという腕力は発揮しないだろう。今の制度・仕組みを前提にお金を配るということだ。全国一律の金太郎あめ的な政策、それは変わらない。ここは地方から声をあげて、こういうふうに手直ししようという声がもっと出てきてほしいところであるが、参院選を見る限り、そのムーブメントとニーズはないようだ。残念ながら。
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