自治体のツボ

地方分権ってどうでもいいことなんでしょうか

地方自治・地方行財政・地方創生…地方のあれこれを取り上げます

2019年02月

東京都のライバルは新興国だ

昨夏発表された内閣府の2015年度県民経済計算。ずいぶんできるのが遅いなぁと思いつつ眺めていると、「米ドル表示の県内総生産の国際比較」なる参考図表があった。よく北海道や九州などブロック経済でものを考える人たちは「うちの経済圏は●●国並み」ということがある。だから?と思っていたが、日本の地方の国力を考えるうえでのいい材料だと思い直した。

目を引かれたのは東京都である。都の生産額(名目)8686億ドルという水準はメキシコ(11696)とインドネシア(8611)に挟まれている。トルコ(8598)、スイス(6793)、スウェーデン(4979)より大きい。都のやや下にインドネシアやトルコ、スウェーデンなどがいると考えると、都はこうした国々と成長力を競う必要があるのではないかと感じる。

新興国の成長は世界経済の動向をも左右する。東京都にはそれだけの潜在力がある。都を一地方の自治体と位置付けるのではなく、ひとつの国として運営を考える。そうすれば、日本経済だけでなく、世界経済の発展にも十分寄与できるということだ。そのぐらいの感覚で東京都の成長余力を考えていかねばならない。

北欧の高福祉やエストニアの電子国家が話題になると、必ず「あそこは小国だから」と突き放す議論を聞くが、ならば日本の小国・東京都が同じことをできるかやってみればいい。真面目にやれば、存外できてしまうのではないか。東京都のサイズで高福祉行政や電子国家を作り上げる。東京都全体を特区のような形にしたら、今のままでいけるのではないだろうか。

都を含めた横並びで地方をたばねようとすれば、都だけが突出することは許されない。でも、それは都の伸びやかな活動を制限する。政策面で独立国家的な運営を認めれば、独自の成長軌道を描くようになるだろう。国への貢献度は大きい。地方行政は47都道府県を対象とするのではなく、46道府県の面倒を国がどうみるかを考え、都には自立してもらったほうがいい。

どの制度に基づいて自立を認めるのかという話になるが、連邦制や道州制などどんな仕組みをもってきても日本では自治体の自由度を制限する方向にむかう。都の収入を都合よく地方にばらまくのは将来ビジョンのない愚策だ。首相と知事の仲のよさだけで左右されては困るのである。日本は国と都が共存して、同時並行で発展しているという一国二制度ができないものだろうか。
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被災地の不満、首長選びを左右

11日で東日本大震災から7年11か月である。津波と原発事故の爪痕はあまりに大きく、なおにぎわいを取り戻せないまちが多く残っている。かつての生活空間はもうかえらない。そう悲観的になる声もよく耳にする。まちが戻らない憤りが選挙にくっきりと姿をあらわしている。

被災地の選挙情勢をみていて、気づくのは現職首長に対する不満である。震災がおきなければ現職がゆうゆう勝つ地域も多いだろうに、被災の影響が大きい地域ほど首長選は接戦になっているのである。白紙委任はできない。なんとかしてくれ。そういう民意だろう。

2月3日投開票の岩手県陸前高田市長選は現職が新人をわずか5票差で破り3選を果たした。現職は妻を震災で亡くしながら復興にまい進してきた。マスコミで再三取り上げられた知名度を誇る。それなのに有権者の間では市政の継続と刷新で、判断が真っ二つに割れたのである。投票率は78%。なんと前回を6ポイント程度上回っている。

同市長選で現職の対抗馬に立ったのは元県企画理事だという。全国的に国とのパイプがある官僚首長が強さを増しているが、被災地でもより上位の自治体である県と連携しやすい人物が求められているのかもしれない。それだけ地域が閉塞しているということなのだろう。

被災地は政策の効果が目に見えてつかみやすい。空地だらけの中心地をみれば「市長はなにをやっとるんだ」との思いをもちやすい。それが現職への批判票を積み増しているように思う。年明けは地方での選挙の低投票率を嘆いたが、今春の地方選は被災地のみならず、多くの地域で有権者の思いが極めてストレートに出る可能性がある。

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フレンドリーな迷惑施設をつくる

迷惑施設。必要だけど、住民からすれば、近所にできてほしくない施設。行政と住民、業者と住民、もめ事を覗き見るのは楽しいのか、よく対立の風景が映し出される。

ごみ処分場や葬祭場が急にできたら、それはいやだろう。自分の資産の価値が下がることもありうる。スーパーなら、反対派切り崩しに安売りチケットとか渡す手もあるが。

最近では外国人の研修施設や児童相談所もダメだと報道されている。ちょっと頑なすぎでは、ともおもうが、住民からすれば切実。反対の件数が多ければ、計画は撤回したほうがいい。時間の無駄だ。

非当事者からみていて、住民は怒りすぎだと思うこともあるから、自治体・業者とも計画撤回で批判されることは少なかろう。むしろさっさと方針転換して、次善の策を講じたほうがいい。

どうせのぼりをたてて反対しているような場所で建設を強行したら、開場後にももめるだろう。そんな場所を利用する外国人や子供がかわいそうだ。延々と空地の状態が続き、地域にプラスにならなくても、それは住民の選択だから仕方がない。

もうひとつ。こうした対立の場面をみていると、つくる側が強行しようとしてこじれているケースがままある。住民以上に頑なだったりする。なぜひけないのか。カネが絡むからか。

迷惑施設はつくる前、問題になる前から、入念に近隣住民と話し合わないとだめだ。住民も喜ぶぐらいのものにしないと。できてから、近隣の後押しを受けない施設では、利用者も使いにくい。

できたあとを住民もイメージし、いやなことは最初に取り除く。住民も訪れて楽しい経験をする。担当者とフェイストゥフェイスの関係をつくる。それが肝になるのでは。対立からは何も生まれない。

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明石市長の暴言はバツである

明石市長の暴言、あれはだめです。ああやって、手下の者を怒ってはだめです。正しいことをいったり、やったりしていれば許されるという話ではない。誰もが活躍し、力を発揮する社会をつくるには、高圧的な態度で人を動かす姿勢は排除しなければならない。ひとつの会社に男性が縛られる時代は終わった。多様な価値観を認め合うしか道はない。

会社で働いていると、正しいことを暴力的にいう人がいる。共感されません。そうすると、正しいことが遂行されない恐れが出てくる。言われていやな気持ちになった人の士気が下がり、結果的にサボタージュにつながる。そちらのほうが問題は大きい。優しいだけでするべき指導を放棄するのもだめだが、圧力で人を動かす手法はだめだ。組織の上司も首長もそこを理解しないと。働き方改革の要諦である。

ネットの議論をみていると、市長をやめるのは行き過ぎだとの意見も散見される。そこは個々の出処進退であろう。公共で働く人と民間人は違う判断があろう。ただ明石のケースもそうだが、こういう正しく行き過ぎる人には支持者やその上の上司から一生懸命
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いいことをやってるんだからという擁護論がでる。それと暴言は別だ。下に示しがつかないし、次に同じような問題が出たときに対処しにくくなる。悪影響の根をたつことが何より大事だ。

トップの暴言問題で考えるべきは働く人の心情に寄り添う姿勢。もちろん怒られる原因になった働くほうの不備は改めないといけない。そこは冷静に急いで解決策を探りましょう、ということだ。マスコミにぶちまけざるを得ない環境を作ったトップがまず猛省し、部下も善後策を練る。それが正しい解決法ではないかと思う。

機能する児童相談所をつくるには

全国で児童相談所の在り方が問題になっている。千葉県の女子児童死亡事件では、児童相談所の対応のまずさがひとつの課題として浮かび上がった。さらに東京23区などでは相談所新設を巡り、地元住民が反発。建設計画が容易に進まないケースがでてきた。どこに問題があるのだろうか。

 

児童相談所とはなにか。そこからおさらいしておこう。設置するのは都道府県である。いまでは政令指定都市、中核市、東京特別区が設置主体となることが認められている。分権の一環ともいえそうだが、自治体からすればやっかいな施設をしょい込んだと思うところも少なくないのではないか。それだけ児童が抱えている問題は重い。ここで働くのは一般の行政職と専門家である。専門家とは児童福祉司、児童心理士、医師を指す。

 

児童相談所が求められる職責を果たせないのは、相談件数の急増ぶりに対し、マンパワーが追い付いていないところにあるようだ。児童虐待の通告児童数をみると、2016年で5万4千人。わずか5年で5倍に増えている。相談所は210。働く児童福祉司が多ければ対応も可能だろうが、17年4月時点の配置員数は3115人。東京都などは充足数にも満たないという。児童心理司は全国1379人だ。これではとても追いつかない。

 

もともと公務員というのは危険を冒さないものである。よくいえばのりを超えない。ドラマやアニメのように気になる家庭にどんどん首を突っ込む相談所はそうないだろうし、首を突っ込む余裕もあるとは思われない。しかし、子供の問題は表にでてこない。ケースバイケースで突っ込んだ対応を練らないとどう転ぶかわからないのだ。そこに難しさがある。家庭の問題に周囲がどこまで手や口を出せるか。その匙加減の難しさが、関係者をして二の足を踏ませる主因になっているのではないだろうか。

 

高齢者が増加している問題には、施設を作り、保護する体制を整えればある程度けりがつく。病気も病院の数があれば事足りる。目の前に困った人がいるので対処法も明らかだ。もちろん施設の整備費がねん出できるか、運営する人手を確保できるかという問題は残る。だが、子供の問題はどこまでどうやればいいかがわからない。児童福祉司を増やせば解決する問題ではない。相談所があちこちにあれば解決するという問題ではない。

 

少子化が進み、本来はさほど入用とは思われない児童相談所だが、いまそのニーズは逆に増している。核家族化が進み、共働き世帯が増えているのが大きい。驚くべきことに児童虐待も深刻さを増している。現代社会の闇といえる部分だ。近所の監視の目が行き届く地方と違い、都市部ではこれからますます頼られる施設になろう。相談所の職員を支え、地域の人々の総がかりで動かす仕組みを作る必要がある。

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頑張れ、ケンコウデスカマン

東京都が受動喫煙対策でAIを使ったチャットボットサービスなるものを開始したという。早速使ってみよう。

 

HPから入っていくと、どこに受動喫煙のページがあるのかわからない。当然福祉のページに「受動喫煙」とうたっていると思いきや、ない。結局、報道発表資料からたどりついた。トップページから誘導するところがあってもいいと思う。

 

答えてくれるのは画面の隅に浮かび上がる「ケンコウデスカマン」。ふむふむ。システムによる自動返答なのだな。資料を読み込んでさっそく第1問。「従業員のいない飲食店とはどこのことですか」。こう打ち込むと、、、特定の施設をイメージできるものは出てこず。ちょっとはぐらかされたか。

 

「役に立ちましたか?」と丁寧に返してくれたので、ここは「いいえ」。するとケンコウデスカマン、「お役に立てなくて申し訳ございません」。まぁそう言ってくれるのなら許そうか。

 

その後も罰則の大小や適用時期、苦情の受付、他県との連携などなど、いくつか質問を繰り出したが、どうもぴたっとした感じはなかった。一回は「お探しの情報はみつかりません。言葉を変えて質問して」とお願いされた。

 

唯一「国の仕組みとの違いは」と聞いたら、ばっちりずばりの回答が得られた。健康増進法との違いをしっかり説明してくれた。さすが小池知事。国との違いは常に意識されておられる。

ただ都がアップしている説明資料はしっかりとした丁寧なもの。国の法律説明と違い、わかりやすいのが一番。AI活用も身近に感じられるので悪くない。ケンコウデスカマン、しっかり学習して、どんな質問にも的確に答えられる技量を身につけて。

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看板に偽りありのふるさと納税

ふるさと納税について自分の考えをまとめておきたい。ここまで行き過ぎると、もういい制度とはいえなくなってしまった、と感じている。

趣旨は申し分のない制度である。地方を離れて都会で働く人が遠く離れた故郷を想って仕送りする。それがふるさとの経済を支える原資となって生きる。だれもがそのとおり寄付していたら問題なかった。そこにお礼をつけたところで逸脱が始まった。単なる格安通販、しかも国が下支えする形での通販になってしまったのである。

地場産品の通販ということならまだよかったが、ここに企業論理を持ち込んだ自治体が登場する。法の枠内で、なんでもありのなりふり構わぬ寄付獲得競争が始まる。よその県の特産品だろうが、家電だろうが、なんでもござれ。寄付だけめぐんでくれれば、住民も納得、財政難も解消。思いもよらぬ魔法の杖になりかわったのだ。

総務省が返礼率の高い自治体を問題視し、行き過ぎた返礼に歯止めをかけようとしたのは納得がいく。真っ先に矛先を向けられたのが泉佐野市だ。全国トップとなる100億円超の寄付を集めた。法律を守って運営しているんだからいいじゃないかと反発。国の姿勢に逆らえないとみるや、寄付者にアマゾンの商品券をつける「閉店セール」に乗り出した。

財政難を解消して市長はえらい、話題になってすごい。そういうことでは役所というのはいけないんじゃないだろうか。あくまで税金。庶民からの浄財をいただくわけだから、還元品で大盤振る舞いして、それを上回るカネを集めたものが勝ち、ということでは地方自治が泣く。ふるさとなんて麗しい看板には偽りありだ。

財政がひっ迫しているんだからいいじゃないかというなら、ひっ迫する財政構造をただす仕組みを国と話し合うべきだ。まずはエリア内にいる住民が自らの生活を考えて協力すべきだ。そこをはき違えてはいけないのではないだろうか。ふるさと納税協奏曲はそれだけ地方が行き詰っているということなんだろうか。断末魔の叫びなんだろうか。
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