自治体のツボ

地方分権ってどうでもいいことなんでしょうか

地方自治・地方行財政・地方創生…地方のあれこれを取り上げます

2020年06月

読書感想文「未来の地図帳」

「未来の地図帳」(講談社現代新書)を読んだ。すでに「未来の年表」も読んだが、都道府県の将来はどうなるのか興味深い。人口減少の行く先。気づきをまとめておきたい。

詳細なデータ分析で地域の人口がどのようにどこまで減っていくかよくわかる。では処方箋はあるのか。筆者は自治体の区域に関係なく、生活しやすい、コンパクトな「王国」をつくれという。

ここまできたら、人口減少を前提に暮らしやすく、活力のある地域を作ろうということだろう。全国一律、横並びのまちづくりではなく、地域ごとにコンパクトの意味合いを探る。

縮むまちづくりで競争が起きるといい。高齢者が引っ張るまち、子育て世代ががんばるまち、企業が支えるまち、小売りがセンターにあるまち。色々やり方はあるし、地域ごとに見つけないといけない。

やはり日本の少子化対策は失敗したのだ。平成版生めよ増やせよ運動をやりきらなかったからだ。働き方改革も中途半端。この20年、がむしゃらに取り組まなかったツケなんだろう。

【未来の地図帳からの気づき】
▼自治体の住民税と固定資産税が減る
▼高齢者も便利な中心部に集中する
▼東北の仙台集中も勢いを失う
▼福岡はレディースシティ
▼女性が望むのは第3次産業
▼高齢者は交通機関の乗り降りに時間がかかる
▼医師も自治体職員も議員も足りなくなる
▼学校も少人数になる
▼市区町村も解散する

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川勝知事が止めたリニア

リニアモーターカー、私は必要だと思う。鉄道の技術革新を進めるうえで非常に重要なプロジェクトだ。日本の輸送力向上のためではないだろう。日本で文字通り軌道に乗れば、世界輸出の可能性も見えてくる。米国や欧州アジアの移動が劇的に変化する。そこを見据えるべきだ。

そこで、静岡県知事とJR東海の会談だが、決裂に終わったもようだ。2027年の開業は難しくなった。まだ8年以上かかるのか。JRは丁寧に説明したようだが、最初のかけ違えを解消できなかったのではないか。知事の環境への言及は軽視できまい。懸念を全力で取り除かなかった。そこに抜かりがあった。

知事も反対するだけでいいのだろうか。これでは、静岡県は駅もできず、わずかな区間を素通りされるだけだから、居直っている、としか見えない。納得できないから反対する。納得できる資料を示すのは事業者の責任。それですべて止めてしまうのは行き過ぎとも感じる。

今回の報道やネットの反応をみて思ったのは、世の中はあまりリニアに関心を持っていないということ。あれ、鉄道オタクだけか、知事発言に関心持っているのは? この状況なら、静岡のせいとか、JRが悪いとか、泥仕合になる前にやめたらどうだろうか。日本の環境壊してまで作る必要はない。

やはりリニアのスピード感がピンとこないんだろう。人口減の日本でなぜここまでのものが必要なのかという説得力も乏しかった。しかし残念。日本の技術力見せつけられるのに。JRにはがんばってほしい。静岡知事が悪いとも思わない。大井川が枯渇してから嘆いてもはじまらない。

もう狭い日本での展開はやめよう。1企業が悪者にされ、文句言われてまでやることはない。イージスと同じく立ち止まる勇気が必要だ。それよりインド、中国、モンゴル、ロシアを結ぶ路線を作ろう。リニア世界平和新幹線。ユーラシアリニア。中国に負けないリニア。そっちの方が夢がある。

自治体こそフィンテック引っ張れ

自治体と銀行の関係について、もう1回。

かつて銀行≒メガバンクはたっぷり預金を集め、融資に回して稼いできた。ところが、金利は低くなる、貸し出す相手もいなくなる、でビジネスモデルの転換を余儀なくされている。

ところが、明らかにフィンテックが活路になるのに、運用で稼げる海外に行ったり、店舗閉鎖のリストラを急いだり、手っ取り早くやれることばかりやる。成長戦略というか、時代にあわせた脱皮ができないのだ。

それは守られた業種だからだ。基本的に競争原理が働かない。統合再編をやって、苦労しているように見せかけている。破綻倒産への危機意識は実は乏しい。官に近い。

日本でフィンテックが浸透しきらないのは、銀行を守る壁が歩みを遅くしているからだ。金融庁と公取委はそこに気づき、銀行を刺激しているが、いかんせん遅い。

一部の地銀と信金はむしろかつてのビジネスモデルを守ればいい。地盤から逃げ出せない足かせが本気で地域と向き合う原動力になるはずだ。災害が起きると、各機関の日頃の真剣さが浮き彫りになる。危機に力が出る金融を目指すべきだ。

自治体も、公金を預かるのはイヤとか、手数料上げますから、という銀行との付き合いは見直したほうがよい。メガバンクやトップ地銀より、働く地銀・信金、賢いフィンテック企業と連携すべきだ。

議会でもよく議論してほしい。便利になるなら負担もしよう。そういう意識を住民に植え付けていくのは、議会の役割だ。マイナス金利が常態化するなか、自治体と銀行の関係も見直す時である。

自治体こそ銀行を選別せよ

三菱UFJ銀行が自治体から請け負う税金などの収納代行業務の手数料を引き上げるという。日経新聞でみた。

今は1件あたり無料か数円。それが来春から数百円になる。銀行からすれば、こんな手間かかる仕事、サービスではやってらんね、ということだろう。

そこは理解できるが、いきなり上げますよというのか。ネット活用などでの収納効率化とか、いまの仕組みを改善する提案はしたのか。

自治体こそ銀行を選別すべきだ。ちゃんと公金が集まって、住民の利便性の高い仕組みをつくってくれるところと組むべき。

それなら手数料が上がり、住民負担が増えるのもやむを得ない。恐らくいまの銀行にそんな目端の効く提案はできまい。

コロナではデジタル行政のポンコツぶりがあらわになった。収納も旧態依然。コンビニ収納も紙がいるとか、つまらんハードルばかりある。

個人がネットで操作すれば、銀行口座から納税や水道料金の支払いを済ませられる仕組みがあれば楽。スマホ決済は当たり前にならないものか。

口座情報を明け渡さない銀行、デジタルに疎い行政。金融庁と公取委はこじ開けようとしているが、そこに問題の根っこがある。

自治体と銀行の関係には不作為の罪がある。ともに自分のことしか考えていない。どうすれば、住民に便利になるか、手間を省けるかに知恵を使わない。

銀行システムを開放し、フィンテック企業が使えるようにすれば、公金収納の改革をやろうという会社は出てくる。

「手数料あげます、そりゃそうだ」で終わらせてはいけない問題である。
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読書感想文「日本史の内幕」

モテモテの磯田先生。本も読んでみようと思い立ち手にとったのが「日本史の内幕」。読みやすくてあっという間に読んだ。新聞連載のまとめかな。

当ブログでの関心は、歴史はどう地域振興に役立つのかという点。遺跡の意味合いとかゆるキャラの考察とか参考になる。

「家康くん」をくん付けでよべる背景も探り、浜松と静岡の意識の差をあぶり出してる。個人的には築山殿殺害の分析がおもしろかった。

古代史に重要な遺跡を道路が寸断しようとするのを止めたり、先生、なかなか政治的な活動もやられる。頼もしい。

あとは災害史。先生が追うところの庶民の生活史には欠かせないところ。東北と熊本の地震の連動とかもっと知りたい。

歴史分析はいまの地域政策を考えるうえでも重要だ。自治体関係者にはいまとつなげる視点を持ってほしい。古書店の存在意義も知れ有意義だった。

地域の郷土史研究家というのはどこにでもいるものである。自治体はその古老によく話を聞いて、アーカイブを整えるべきだ。

地震や津波で貴重な資料が失われることもあろうし、地域の記憶はまちの財産。そこには金銀以上の価値ある財宝が眠っている。
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お笑い都知事選、選挙公報の無駄遣い

東京都知事選の公報を読んだ。結構、都議選や区議選など、顔がわからない候補者の来歴や政策を簡単につかめるので公報は便利。しかし。

あきれた。都知事選のはひどい。それなりに上位に食い込みそうな人はちゃんとしてるが、○○○モン新党なんて、3人おんなじ。比例選なの?

医師会長選と間違えている人、ワンテーマに浸り都政全般を担う意欲はないように見える人。これで何を訴えるんだろう、都民に。

小さな政府や革新都政といった信条や軸も見えない。果たしてこれは政治闘争なのか。民の生活を成り立たせる工夫をするのが政治、ではないようだ。

今回は供託金をぐっと引き上げよとの声も出ている。自分アピールの候補者を引きずりおろせと。しかし、それはやってほしくない。選択肢が狭まる。

がっかりした人は選ばなければよいのだが、なんだか捨て置けない気持ちになってきた。友人に嘆いたら「前からそうだよ」と。ううむ。

印刷代、無駄なんじゃないか。さて、政見放送は一体どうなってるか。かつてのように笑って見流すとはできそうにない。見守りたいと思う。
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地方議員ほどステキな商売はない?

なかなかなり手のいない地方議員。いやいや、よく考えたら、こんなにおいしい商売ないですよ。議員になりたがっている人を勧誘してみましょう。

ーー選挙を戦うのはお金もかかるし、落ちたらかっこ悪いな。
いやいや、いまや定数に候補者数が届かない地域はいくつもありますよ。つまり競争率は1倍割れもあるということ。就職先を見つけるよりかんたんかもしれません。就活生はみんな目の色を変えてますが、こちらのライバルはそうでもない。あなたが、ライバルにはない若さとやる気をアピールすれば、有権者には受けますよ。SNSで他人や地域の悪口を書き込んでみましょう。メディアの取材が殺到します。

ーーえー、でも、仕事たいへんそう。
もちろん真面目にやったら何やっても大変ですよ。でも、議員の場合、当選したら「先生、センセイ!」と平伏されて、大概の仕事は首長や職員が片付けてくれます。条例の提案? そんなの職員に任せておけばいいんです。あらゆる仕事と同じく抜け道はありますよ。豪華な議場で悠々と居眠りしてればいいんです。身につけるべきは元気な挨拶。名前を呼ばれたら、大きな声で返事して、マイクの前に立ちましょう。「みなさん、がんばりましょう!」。この一言で場内は大盛り上がりです。

ーーそんなの誰も尊敬してくれませんよ。
確かに。いま、多くの先輩議員が不祥事を起こしてますね。カネにまつわる問題だけではないですよね。時間がありすぎるのかなあ。真面目な議員さんが割を食ってしまうほど、地方議員には厳しい目が注がれてます。それでも、ステータスの低い稼業ではありません。小学校の運動会でも早い方で挨拶できます。がんばって10回連続当選、やりとげましょう。銅像立ててくれますよ、きっと。

ーーもうからないでしょ。
報酬はさほど多くありませんが、兼業すればいいんですよ。毎日議会開いているわけじゃないし。どうしても足りなくなったら、出張伝票、偽造しましょう。先輩が丁寧に教えてくれます。それからね、お手当があります。国政選挙があるたびに、地元の国会議員がお小遣いをくれます。よしなに頼む、と。ときに「あんたんとこ、票が出てないよ」とパワハラまがいの指導もあるかもしれません。そんなときは「もうちょい山吹があれば」とおねだりしましょう。一蓮托生ですな。

ーーどうもやりがいを感じないです。
何を青臭いことを。みんな、このご時世、好きでもない仕事、頑張ってやってるじゃないですか。まぁもし議員になって、時間があったら、選挙区をこまめに歩くといいですよ。健康になりますから。それにいろんな人たちと話してごらんなさいな。そこで課題やら文句やらたくさん聞かされますよ。後でどれか1つでも、自治体と相談し、議会に諮って解決したとしましょうよ。その時の爽快感とやりがいはなかなか、あなた、他の仕事では味わえないでしょうなあ。ものすごく尊敬されるでしょうしね。

間違って、次の選挙出てみようかな、と思った人、いませんか?
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イージス白紙、どこも悪くない

イージス・アショアの配備計画が白紙になった。その後の報道によると、撤回されるそうだ。河野防衛相の独断ではないか、今までの説明は何だったのかと、防衛行政への批判が集まっている。

私見を述べれば、防衛相の判断に問題はないと思う。様々な不備があり、一度決めた政策を見直すことのどこが悪いのか。立ち止まらないことには、おかしなまんま進んでしまう。

国政の流れを一度止めるというのは、そう簡単なことではない。予算も絡む。党への説明がないとか、過去の経緯を踏まえていないというが、おかしいと思えば止める。

この先、さらに突っ込んで議論してもらいたい。やっぱり推進しようとなっても構わない。政府内、国会、国と地方、日米でのきちんとした議論があれば。

だが、これまでのずさんな説明への批判は甘んじて受けねばなるまい。居眠り官僚、でたらめ資料。地方をばかにするな。カネ落とすからいいだろう、安保は国の専権だとのおごりがあったんじゃないか。

もともとこんなシステム、うまくいくのかとは誰でも思うところ。精度と費用対効果は徹底追求してほしかった。米国が言うんだから聞くしかないという思考停止はなかったか。

秋田県も山口県もここが重要だ。国との話し合いにしっかり取り組んでほしい。意見や注文をしっかりつけてほしい。納得いくまで議論し、地元をまとめる。国の政策にきちんと絡む姿勢を見せつけてほしい。
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なんとかシティ、またできますの

コンパクトシティ、エコシティ、スマートシティ。都市開発の手法は次々に生み出されるが、どれも効果をあげている地域はわずか。そこへきて、スーパーシティを推進するとかいう法律ができた。

また国から地方にお金をばらまく仕組みができたのか。地域の困り事をAIやビッグデータを活用して解決、まるごと未来都市、ありたき未来の生活を実現、なんて言われても、グッとこない。

海外でもITを取り込んだ最先端都市づくりが急速に広がっているとか。だから日本もといっても、国内にそんないいものがいくつもできるのか?マイナンバー一つうまく整備できない国で。むり。

こういうのはまず課題が地域にあって、そこをどうするかを考えるところからスタートすべきで、国でメニュー作ったから、これに即して検討してみて、というやり方は絶対にうまくいかない。逆。

やはりトヨタのウーブンシティのような土台があって、うまく行かないところを国が助けるというつくりにしないと、使い勝手のよい街なんてできない。住民、民間企業の発想がベースにないと。

もうひとつ、このスーパーシティには、個人の行動記録や情報が少数の企業や国に集中する監視社会化への懸念も取り沙汰された。データ社会のハードルだ。国のお仕着せではそういう不安も出るだろう。

なんとかシティ。国は大好きだが、全国一律であちこちにつくろうというのが、とにかくだめ。無駄金を垂れ流し、誰も使わぬ街ができる。やめたほうがいい。
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読書感想文「超成長都市『福岡』の秘密」

札仙広福。三大都市圏に次ぐ存在として日本の成長を支えている4大都市だ。そのなかで、頭一つ抜け出した感があるのが、福岡ではないか。

「超成長都市『福岡』の秘密」を読んでみた。

筆者も指摘しているが、やはりアジアのゲートウェイという地理的・歴史的特性が大きいのではないだろうか。オープンな姿勢が強みになっている。

なんでもやってみる貪欲さが開業率首位という結果を生むのだろう。思うに、福岡を選ぶ人はたぶん福岡じゃなきゃだめということはないんじゃないか。

便利だから福岡、たまたま福岡という人が多いかもしれない。機会があったから福岡。そこが意外に重要かも。機会を提供できていることが重要だ。

他の地域は土地へのこだわりも強い。かえって動きにくい。自由に壁や境を超える。そういう人の集まりが福岡で、それが成功につながるのだろう。

筆者は経産省OB。官の思考にも触れているが、地域では官が民の邪魔をしがちだと思う。特に国は前例や組織に縛られすぎ。

自治体は地域にこだわる人がいるからいい。数年で異動してもその土地からは逃げられない。国は自治体の邪魔もするな。

ほかに学んだのは実証実験と社会実験の違い。仕組みの実装を調べるのが社会実験と。『ボルドー・メトロポール』『九州大学起業部』『SIB』もメモ。
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