自治体のツボ

地方分権ってどうでもいいことなんでしょうか

地方自治・地方行財政・地方創生…地方のあれこれを取り上げます

2020年10月

茨城県と言って思い浮かぶのは?

毎年公開される都道府県の魅力度ランキング。今年は7年連続で最下位だった茨城県が42位に浮上したことで話題となった。

回答者の印象だから、印象が少しでもよくなったのはよかったんだろう。最下位のままというほうが話題性があってよかったと思うけど。

この調査の特徴だと思うが、ぱっとアタマに浮かぶ観光資源のイメージがないと上位浮上は苦しい。北海道、京都、沖縄、東京…そら上位でしょう。

栃木県が最下位に転落したが、北関東はこれという観光のイメージが湧かない。行くと楽しいけど。群馬県、茨城県と策を練るべきときだろう。

その次に低いのは佐賀県。色々あるのにこれっていうイメージが湧かない。かつて、はなわが頑張ったし、吉野ケ里とか有田焼とかあるけど。

そこで考えた。茨城県といえば。みなさんもご一緒に。

①常陽銀行②牛久大仏③霞ヶ浦④大洗海岸⑤鹿島アントラーズ⑥筑波大学⑦東海原発⑧筑波山ガマの油⑨稀勢の里⑩高安⑪水戸黄門⑫偕楽園⑬国営ひたち海浜公園⑭梶山弘志⑮鹿島神宮⑯常磐線特急ひたち⑰あんこう鍋⑱水戸納豆⑲桜田門外の変⑳磯山さやか㉑欽ちゃん球団

以上、思いつくまま。合ってるかな?これだけ出てくれば、茨城通ではないですか?だめ?

ちなみに栃木県と言えば。

①日光東照宮②宇都宮餃子③華厳の滝④日光猿軍団⑤渡辺喜美⑥佐野ラーメン⑦足利銀行⑧中禅寺湖⑨鬼怒川温泉⑩U字工事⑪とちおとめ⑫真中満⑬足利学校

あれ、茨城県ほど出てこない。。。いま調べたら足尾銅山とか真岡鐵道、塩原温泉郷があった。いかん。
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読書感想文「女帝 小池百合子」

今頃になって、よく書店で見かけていた「女帝」を読んだ。ふうむ。政策には全く関心がなく、上昇志向あるのみ。

政治家というのは、きっちり判断してくれればよいわけで、政策通と言われる人に限って決断力なく、前例踏襲に陥りがち。

有権者は小池氏に期待しすぎて、あとではしごを外されるということなんだろう。一見よさげな政治家に見えるのだが。

この本を読むと、我々は一体、選挙で何を決めているんだろう、と思わざるをえない。もちろん候補者の全部はわからない。

本だって真実かはわからないし、当選後にいい働きをしてくれるかもしれない。この本だけで都知事たり得ずとはいえないだろうし。

それでも、しっかり候補者を吟味せず、空気に流されて、思わぬ人を選んでいるのかもしれないとは思う。それはどこの国も地域も一緒か。

これは選挙の欠陥なのか。清き一票で世の中を変えよう。言うは易し。しかし、なかなか変わらない。選挙という制度がよくないのではとさえ思う。

小池さんは友達もブレーンもいない。しかし、この人には風が起きる。よく本人を知らない人が風を起こす。その風に巻き込まれるのは良いことなのか。

スキャンダラスな一面というか、がむしゃらなキャリア形成を興味深く読んだ。こんな本が出てもラクラク再選。考えさせられたのは選挙の是非だった。
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都構想考④大阪府は温存されますの?

大阪都は大阪市を解体し、発展的に解消することである。確かに府市あわせの二重行政はわかりやすくなるかもしれないが、府はどうなんの?

府は広域的な仕事を手掛けるという。成長戦略や消防・水道、病院、広域的なまちづくり。そのあたりが仕事になるようだ。

ここは今回の見直しでもう少しはっきりささんかいと思うところで、大阪府はもっとリストラや権限移譲はできませんの?

最初から疑問に思うのは府。年来の悲願だった大阪市をお取り潰しになって、府はそのままですか、と。大阪府にもメスを入れるべきではないか。

すべての維新発言を追えないので、どこかで指摘しているのかもしれないが、府の温存ぶりはすごいなと。反対する理由があるとすればここ。

東京都の課題を大阪でなくす気概があるのなら、大阪府も分権に配慮した新たな体制にしてほしかった。都道府県の見直しが見えにくいのは残念だ。
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都構想考③公選区長4人、誰がやるの?

実現しなかったら、どうでもいいことだが、公選区長4人の存在というのは実は大きい。なかなか人選は難しい。

やはり行政手腕に長けた人であってほしい。かといって、単なる公務員あがりでも困る。一定の政治経験はほしい。

党派性はどうか。全員同じ党だと政策の統一感はとれるが、区の自律性というのはなくなるかもしれない。府知事の言いなりというか。

知事の党派が変わるたびに総取っ替えというのでは、政策の連続性も失われないだろうか。米国はそういう社会ではあるが。

区長が4人しかいないと、知事とのゴタゴタが表面化しやすいのではないかと思う。意見の違いによる協議は大歓迎だが、それが排除の論理につながることはないか。

維新のすぐ投票や選挙で決めようとする姿勢は、どうかなと思う。今回の住民投票はいいが、白黒決したらあとは言うことを聞け、はやや怖い。

きちんと話し合って、お互いがある程度の妥協をしながら着地点をみつける。そんな府区関係を作り上げてもらいたい。

翻って都内の区長。あまり目立たない。有名なのは、スキャンダル下の千代田区長、国政から転出した世田谷、荒川両区長ぐらいか。

最近、若い渋谷区長をメディアでよく見かける。あとは消滅と騒がれたときの豊島区長。区長経験を踏み台にさらなる活躍、という人は少ない。

特別区長会のホームページを見ていたら、都の内部団体から脱却して今年で20年。基礎的自治体風にはなったが、なかなか自主独立は容易でない。

大阪都がなったとき、公選区長が誰になるかというのは見ものである。初代区長の力量が都構想を左右するようにも思える。
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都構想考②政令市、そんなに邪魔ですか?

さて、都構想が実現すれば、大阪市が消える。政令指定都市が消えるというのは初の事態である。まで増やしてきたが、これからは減るのだろうか。

「府市あわせ」。維新はさかんに言うが、都道府県と政令市の関係をみると、二重行政、意思疎通の悪さは目に余る。同じようなモノ作って張り合うし。

これは全国どこにでもある。神奈川県なんて政令市が3つあるから、本当は県のやることなんてほとんどない。県庁のジレンマでもある。

やっぱり道府県からしたら、目障りなんだろう。都道府県の仕事の一部を引き受けているのだから。本来は独立させるべき。

しかし、都構想は逆に政令市を潰した。これは画期。大都市制度を消すのだから。結局、似通っているからぶつかるのだ。

本当は大都市という仕組みをもっと議論しないといけないのではないか。都道府県から独立し、都市として必要なことをやる。

都道府県は大都市以外の住民の面倒をみて、大都市と非都市とをうまく結ぶ仕事をする。国との連携や県間連携を進める。

一方、大都市は成長できる産業振興と住環境整備をやる。役割を明確に分けないから、府市あわせになる。

そうでなければ、市を潰して府県の勢力圏内に市域を抱え込む。府県が上位、区は自由度を持ちつつ、傘下に入る。これか大阪都だ。

傘下に入れるか、独立するか。そのどちらかしかない。その前者がやれるなら、みてみたいところ。残る19の政令市、どう受け止めるのだろう。
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都構想考①大阪特別区、東京23区より良い?

やはりあと半月、米大統領選と並んで大阪都構想の先行きに注目しないといけない。住民投票が告示され、11月1日が決戦のときと固まった。

維新も行政も肩に力が入っている。勇み足もあり、住民説明会は効果ばかり強調したと批判された。今回はさすがに失敗できないということだが。

都になるとはどういうことか。東京のようになるということだ。政令指定都市・大阪市は消える。府が残って市は区になって消える。

大阪市のホームページを読んでいたら、前中野区長なる人が、新しく造る特別区は東京特別区の問題点を解消していると説いていた。

区のことを考えた財政調整になっている点、府と区の協議が不調に終わった場合に第三者機関を設置する点。区の運営に配慮されているという。

確かに東京23区は都への従属感が強い。縦の連携は薄く、横の関係も弱い。上意下達に終わっているところがある。

大阪で気になるのは4区でサービスを賄えるのかという点。今は24区ある。身近なサービスというのに、きめ細かさを欠き、粗っぽくならないか。

議会の役割も重要になってくる。公選の区長と議論を戦わせる。大阪府にモノを申せる議論を繰り広げる必要がある。

府と区がけんかしたら、「府と区の致すところ」とか揶揄されそうだけども。大いに財政論争、事業仕分けは議論すればいい。そんな関係が望ましい。

東京特別区と大阪特別区の違い、もっとそこが知りたい。大阪のがいいぞ、となれば、都民にもメリットが出てくる。
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押印廃止だけやっても仕方ない

河野太郎行革相の旗振りもあって、全国の自治体で押印廃止の動きが広がっている。先鞭をつけた福岡市のホームページをみると、実に2694の書類で本人が署名した場合の押印を不要としている。「申請の負担を軽減するため」という。これは行政デジタル化への重要な一歩といっていいだろう。

ただ。政府の旗振りで重い腰をあげた自治体は慎重に進めるべきだ。押印廃止だけ先行させてどうする、という感じがする。行政手続きのデジタル化・効率化が先だろう。各地の報道を見ていると、はんこだけがやり玉にあがっている。順番が逆ではないかと思う。

そもそも、それらの提出書類は必要なのか。なくしたり、簡素化したりする余地はないのか。残すべしと判断した場合、デジタル化できるかどうか。デジタル化も無理、となって、初めてはんこ不要という決定に至るのではないだろうか。

要は本人確認がしっかりできればいいわけで、デジタルなら電子認証システムを確立すべきだし、窓口での確認も徹底すればよい。民民取引では「はんこないなら拇印で」と言われる。押印をなくしても個人や企業の手間はさほどかわらない。使っていたはんこが引き出しの奥深くにしまわれるだけである。

対応を迫られる自治体は「簡単だから押印廃止だけやっとこう」と思っているフシはないか。もしくは、規則の見直しとか煩雑な仕事を増やすことにならないか。どっちにしても、自治体が手続きの利便性を高めようとしているのか、本気度をとっくり見てみたい。

だけど。両親に自分のはんこを作ってもらったとき、個人的にはうれしかった。「自立した個人として判断を迫られるのだな、これからは」なんて思ったものだ。どっか使う場所ないかなと勇んだ。民間企業の中で「はんこだけでOK。署名は不要」という手続き、残してくれないか。
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世田谷区を滅ぼすふるさと納税

滅びてしまうのは足立区ではなく、世田谷区ではないかという勢いである。世田谷区が10月の区広報でふるさと納税に猛然と異を唱えている。

これは非常に学べる広報。いかに都市自治体がふるさと納税に苦慮しているか。制度の仕組みはあらかた知っているが、改めての発見もあった。

発見1)国の応援がまったくない
不交付団体への補填はないし、ワンストップ特例で国の減収の肩代わりまてさせられる。富裕自治体は苦しんどけ、といわんばかりの態度にNO。そんな気持ちだろう。ここが肝だが、一般的に一番理解を得にくいところ。田舎の自治体からすれば、そんなみみっちいこと言うなという気持ちだろうし。

発見2)区民に納税を呼びかける
いまは区民によるふるさと納税では返礼品が出ない。それでも、というお願いも書かれていた。PCR検査や児童養護施設退所者奨学基金など、使徒を選んで寄附を募っている。これこそ本来の納税の趣旨だなあ。本庁舎整備を選ぶ人は少ない。。。

発見3)自治体同士でたすけあい
これはへぇーと思った。北海道胆振東部地震の被災3町のために代理受付をしたのだという。しかも、世田谷区が台風水害にあった時は、厚真町が代理を引き受けてくれたと。こういう災害支援の連携はもっとアピールしてほしい。

今年度は9月時点で56億円の減収が生じているそうだが、これはごみ収集にかかる年間費用58億円に匹敵する。わかりやすい反対論だ。

このままだと、住民サービスが低下しますよ、というわけだ。区長も子育てや教育、福祉、そしてコロナ対策を強化できたはずと唇を噛む。

うーむ。こうして見ると、区民に理解をというより、ふるさと納税する区民すらやり玉にあげているような。。。挑発的な啓発。いいと思う。
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核のごみ(下)国よ、ダマテンではあがれまい

北海道の寿都町と神恵内村が核のごみ処分場の候補地に名乗りを上げた。両町村の姿になんとはない違和感を持ったが、もっと疑念に思うのは国の姿勢である。

国は本当に原発を動かそうとしているのか。こんな大変なことを自治体任せにして、自ら地元調整に乗りだそうとしない。国に本気で取り組む姿勢が見えない。

手を挙げさせて、都合が悪くなったら、はしごを外すんじゃないか。そう思えてならない。文献調査で終わるわけじゃないのだから、建設までを見据えて行動を起こさないといけない。

にやにやして待っているだけ。そんなことで原発再稼働なんてできるか。原発事故以来、及び腰。ふにゃふにゃのエネルギー行政。自治体任せの風任せ。姿や本意を隠すならもう原発はやめにしよう。

そんなフニャだから、再生可能エネルギー強化もおざなり。太陽光なんか破綻しかかっている。いつも思うが、こういう施設は電気の恩恵を受ける東京に造ればいいのに。経済産業省も管理しやすかろう。

ごみ処分場ひとつ造れないで、政府は原発再稼働なんて言うな。核のごみ処分は国のやる気、国民生活の安定のためにエネルギーを確保する国の本気度が試されている。

やはり国のエネルギー政策はどこかちぐはぐだ。
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核のごみ(上)処分場を造りきる地元の覚悟は

これほど国と地方の関係を考える好材料はないと思うのが、核のごみ処分場問題だ。北海道の2町村が第1段階となる文献調査に名乗りをあげた。

そのこと自体、ありがたいと敬意を表するしかないのだが、疑問もある。果たして地元での議論は尽くされているのかという点だ。

まさか文献調査で20億円貰えれば、と思っているわけではないだろうが、第2、第3と段階をクリアし、建設までこぎつける覚悟はあるのだろうか。

核のごみのまちとして生きていく覚悟はあるのか。住民はそこまで理解しているのかどうか。反対があってもまちに進める覚悟はあるのか。

住民の総意を形成し、引っ張るのがリーダーシップ。よいと信じることを進めるところに信頼は生まれる。そういう覚悟はあるものと信じたい。

国に実現を迫り、北海道も説得し、住民との検討も積み重ねる。そのプロセス、一つひとつの作業が地方自治であるはずだ。

なんとなく報道だけでは、そんな揺るぎない決意、建設までこぎつけるという気迫が見えない。途中で終わるとか最後まで行かないと思ってないか。

だとすると20億円ほしさとしかならない。すべてをだましていることになる。国も加担して。そういうはしごなら、最初から掛けてくれるな。

首長と自治体にはハラの座り方を聞いてみたい。本当にやりきるんですか。必要なんですか。「まず第一歩」。そう答えるなら厳しいと思う。
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