自治体のツボ

地方分権ってどうでもいいことなんでしょうか

地方自治・地方行財政・地方創生…地方のあれこれを取り上げます

2021年03月

点検春条例①エスカレーター歩行容認条例も

埼玉県がエスカレーターでは立ち止まるよう求める条例を作るという。全国初との触れ込み。強いメッセージで事故を防ぐという。

早速条文を読んでみよう。第5条に「利用者は立ち止まった状態でエスカレーターを利用しなければならない」とある。

議員による提案理由を見ると、安全な利用を確保し、県民が安心して暮らせる社会の実現に寄与すると書かれている。なるほど。

でも、反対。やはり義務付けるのは違和感がある。歩く自由はないのだろうか。私はいつも歩きまくる。動く歩道も猛スピードで歩く。いらちなんで。

たしかに電車に飛び乗ろうとする際は危ない。鉄道事業者やメーカーが立ち止まるよう呼びかけるのはわかる。でも、自治体で規制するべきか?

あの整然と列をつくり、片方を空けるのは日本の文化。面白いことに、関西と関東とで右左並ぶ列が異なる。右側に並ぶと、ああ関西きたなあと思う。

コロナで従容として政府の外出自粛を受け入れたのも、このエスカレーター文化があったからこそではないか。大げさだが。

そこには歩かない人も歩く人も互いを思いやる多様性への配慮がある。まさに文化。だんだん喫煙者の論理のようになってきたが。

目くじら立てて力説するほどではないが、ちょっと異を唱えたくなった。みんなで立ち止まったら、社会の進歩も停滞しやしまいか。
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登録有形文化財とはなんだろう

NHKのサイトを見ていたら、こんな記事が。マヤカンが登録有形文化財に。おおお。摩耶観光ホテル、そんな名所になってしまうのか。

さて、登録有形文化財とはなんだろうか。重要文化財とどう違うのか。せっかくなんで勉強してみた。近代建築の保存を目的に作られた制度だとか。

原則として建設後50年たち、国土の歴史的景観などに寄与していることや再現が容易でないことなどが基準になっているという。へぇー。

壊されてしまうのを防ぐために緩やかに網をかける。利用しながら保存していく。なるほど、マヤカンなんかには最適な制度である。

では全国にどのくらいあるのか。文化庁のホームページを見ると、12400。結構あるな。ああ、あれがというのはないが。

建造物は関西に集中。トップスリーは大阪、兵庫、京都。建物となると、ある程度の都市ですな。長野や新潟が多いというのも歴史の厚みゆえか。

美術工芸品も途中から対象になり、こちらはまだ全国に17。おっ、われらが宮城県が3とトップではないか。多賀城関係の出土品ですね。健闘、健闘。

他にも登録有形民俗文化財とか登録記念物という制度もあるようだ。陸前高田の漁撈用具とか生産用具が多いそう。

国宝は知っているものもあるが、知らない大事なもの、結構多い。ありきたりだが、日本の積み重ねた歴史がきちんと生かされていくのは大切なことだ。
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「国の逆張り」が正解のコロナ防衛

誰を信じたらいいんだろう。コロナ対応。国は緊急事態の解除を決めたと。ところが、東京都は時短に応じない飲食店を今頃締め上げた。

結局危ない状態なのか、安全な状態なのかがわからない。首相は会見でこう言った。「人出が増えている地域もあり、リバウンドも懸念される」。

解除すれば、もっと人出は増える。懸念されるのなら、解除するのはやめたらどうだろう。国が緩めているから、都は締めるのか。反対を行くのか?

宮城県民は幸いなるかな。県と仙台市とがタッグを組んで、独自の緊急事態宣言を出した。感染拡大で医療提供体制の逼迫が懸念されるとのこと。

仙台市長は「リバウンドを抑え込む」と言った。わかりやすい。抑え込むために動く仙台と、心配しつつ規制を緩める国。どちらが正しい姿勢か。

21日で宣言は解除になる。国が大丈夫と言うので、解除後はなるべく出歩かず、できるだけ家で静かに過ごすことにしよう。
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柏崎再稼働はなくなったか

総務省、みずほ銀行、東京電力といえば、今話題の三大ぽんこつ組織。接待漬け、デジタル音痴ときて、防犯意識ゼロ。困ったものだ。

どれも大事なのだが、この東電の問題はちょっと看過できない。核の防護が危うくなっているという事実。これは県庁も本腰を入れて対応すべき。

テロリストに狙われて、最初に被害を被るのは新潟県民だ。県民を果たして守れるのか。規制委員長がなめてんのかと指摘した事実は重い。

経済産業省に任せていてもだめだろう。これこそ、県でチームを作って柏崎刈羽に乗り込んでもいいぐらいのことだ。大人になる必要はない。

地震計の故障を放置したり、あ然とするような実態が続く東電。こんな会社に任せていていいのだろうか。国は何をやっているんだろうか。

こういうことばかりやってるから、原発再稼働は遠のくのだ。自滅による失点。誰のせいでもない。自分が悪い。

ここができないと、東電の経営も大変だと思うが、その気概が全くみえない。この無気力はどうしたことか。会社、従業員はどこを見ているのか。
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論戦を面倒くさがる市議会

論戦の場であるはずの市議会が、なんだか本分を見失っているように見えてならない。自治体と議員が政策を巡って、議論してほしいのだが。

アイーン。志村けんさんの像を建てようと盛り上がる東村山市。議会はひとり会派の根絶に乗り出したようである。朝日新聞が報じていた。

議会基本条例を改正し、ひとり会派を認めない規定を作るという。いまの条例は良いことが書いてあるのに。

「会派は政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成」。個人でも複数でも会派を作れるようにしてあって、何が不都合なのか。

これでは少数意見をすくいきれないでしょう。徒党を組んで政策を実現するのもよいが、むしろ議会は多様な意見に耳を傾けるべき。

国政政党や役所と一体になって、少数意見を握りつぶしてどうする。言論封殺は議会凋落となって跳ね返ってくること請け合いだ。

山梨市議会は地元紙の傍聴を禁じた。記事先出しを議会軽視と怒ったそうだが、時代錯誤。相模原市議会では前議長が職員にパワハラ。言語道断な。

話せばわかる。いや、話してもわからないのが市議会か。いろんな人が出入りして、役所の仕事をきちんと監視し、いいことやるよう仕向けないと。

これら3つの市議会のあれこれは、内向き志向で既得権益を守りたいとしか思えない。アリバイ作りの無風論戦なら、即時停止をお願いするしかない。
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震災10年⑤NHK「廃炉への道」で感じた暗澹

日曜夜、7時のニュースをみてから、そのままダーウィンが来たのオオウナギ、青天を衝け、NHKスペシャル。どんだけNHK好きなんだ。2時間半弱。

さて、NHKスペシャルは「廃炉への道」。福島原発事故を巡るこの10年の過程をまとめていた。ややごった煮ながら、見ごたえがあった。

でも廃炉は40年と思っていたが、全部きれいになるまで300年もかかるとの試算もあるという。デブリも取り出すととんでもない放射線を発するらしい。

そんなデータや見通しが集まると、なんか国に騙されている気分になる。事故処理なんて進んでないじゃないか。いい加減なこと言うな、と。

東電が頑張るのは当たり前だが、国はどうなっているのか。NHKもそこをかなり打ち出していた。経済産業省の木で鼻をくくった回答。

後半は住民との兼ね合いに移ってしまったが、もう少し東電と国がどう責任を分担していくか、何ができるのか見たかった。

希望はあるようでなんにもない。私たち世代だけではどうにもならない。その現実。多少わかってはいたが、こうしてまとめてみると、暗澹とする思い。

今年に入ってあふれるほど原発関連の情報に接したが、あまり意図を交えず、淡々と映像と証言で綴るこの番組が最も印象に残った。なんでかな。

歓送迎会でわかった都市と地方の分断

職場の同期を大してもてなしもせずに異動させてしまった今春。みなさんは、歓送迎会、やりますか? お花見はどうします?

山梨県知事が歓送迎会と花見の開催を奨励したところ、官房長官から「自粛を働きかけて」と釘を刺された。

そこへ島根県知事も「9人以下、90分迄」という条件付きでの会合を呼びかけた。あきらかな地方の乱です。

山梨県知事は対策をしっかり講じている姿勢を強調したうえで、感染が拡大しているところと一緒にするなと発言したそうだ。それは理解する。

個人の判断に委ねるしかないし、できる限りやったほうがいいと思うが、やるやらないと両方の意見が出ると、都市部では、やる人が増えるのでは。

そういうノーカンの人が増えて、都市の人が地方へ行ったら、感染が広がって、とならないか。地方も大っぴらにやろうと言わないほうがいいと思う。

コロナはどうも都市と地方の分断を招いている。地方には都市のせいでこんなことになってるとの被害者意識があるのでは。

人口が少ないことが感染を抑えているのだろうが、東京の姿を見ていると人が交わるのはやはり危ない。

「それぞれが判断し、適度に開くのはいいでしょうが、あんまり派手にやって、感染が広がるのだけは避けてほしいですね」。

このぐらいがせいぜいでは。あなたが知事だったら、どう言いますか?
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公募副市長、否決で終わりはもったいない

安芸高田市の公募副市長が否決されたそうである。4115人の中から選ばれた30代の女性。若さと女性、まちづくりに関わってきた経験。もったいない。いろいろ疑問があるのでまとめてみた。

①副市長である必要はあるか
ネットで多くの記事を検索しただけだが、この女性は確かにユニークで市の発展に貢献してもらえそうだ。でも。副市長である必要はないのでは。議会に縛られ、自分の感性で働けなくなる恐れがある。違う形で関与して貰えないのだろうか。このまま終わりとするのはもったいない。1200万円もらって何でもやりますというのならよいが、そうすると今度は行政経験が問われる。

②市議会はちゃんと受け止めたのか
市長と市議会は対立しているようだから、わりとあっさり否決したように見える。どこまで議論したのだろう。ほかの地域もそうだが、首長提案の幹部人事、人も見ずに否決したれというところがある。国会もそうだが。市の発展になるかもしれないのだから、頭から否定せず、人物本位で判断してほしかった。少なくとも本人に来てもらって質疑するぐらいの手間はかけるべきではなかったか。それでも優先順位、コスト、効果などを考慮して否決というならわかる。

③市長はどこまで丁寧に説明したか
公募副市長は市長の発案だから、議会や市役所内でしっかりと意義や効果を説明できていないといけなかった。そこはどうだったか。議会と対立しているから強行、ではうまくいかない。地元の深い事情はわからない。が、市長が汗をかかないとうまく行かない人事だったと思う。私たちが丁寧に選んだから大丈夫です、とはいかないと思う。

④選考過程は透明だったか
4115人も応募があったというのは、これはこれでものすごいことだと思う。人口は2万8千人ほど。その7分の1でしょ。大きい。スター誕生のオーディションじゃないから、全候補者を明らかにする必要はないが、市民の共感を得るにはある程度、納得感のある選び方をしないといけない。書類選考と面談でこの人にというだけで理解されるかどうか。これは難しい。他に手段は見当たらない。全候補者紹介とはならないし。市長に選ぶ権限はあっていい。それでも、どうやって真剣味と丁寧さを選考過程に反映できたか。市民の後押しがあれぱ、議会の反応も違ったのではないか。

⑤副市長に何を期待するのか
市長は選んだ際「官と民の橋渡しができる即戦力」と語ったそうである。どの組織もそうだが、外部からの登用は活性化につながる。ただ処遇の仕方というのは結構難しい。役所もこんな有識者の意見を聞くと大臣が言うと、そんなにいい顔はしないだろう。刺激にする狙いはわかっても、そんなにうまく機能しない。いちど一緒に働いてみるというのはありかもしれない。やってみて、新たな仕事ができるとなったら、どんどん深入りしてもらう。トライアルから入るのも手ではないか。特に行政の場合、そんなに急ぐ必要はない。市長の任期を見据えて考えればよい。

いずれにしろ、公募副市長はトンデモナイ関心の高さをうかがわせた。議会否決で終わりとするのでなく、何か違う手立てを考えられないものだろうか。いちど公表された女性にやる気があり、余裕があるのならば、活躍の場をつくり、いずれ処遇という道を用意してもいいだろう。次を探ってほしい。
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残念なロマンスカーの車内販売終了

〽雪解け間近の北の空に向かい、、、まもなく春、旅情をかきたてる「いい日旅立ち」。はあー。今年もまた外出自粛だろうか。

JRの春のダイヤ改正。185系踊り子号が引退だそう。北海道では18もの駅が廃止になる。奥羽本線でも赤岩駅が廃止に。秋田臨海鉄道も幕を下ろした。

小田急はロマンスカーの車内販売を終了した。ああ。洒落たロールケーキ、何度も食べたなあ。いとこと乗って、席にスライムこぼして大変なことに。

春は別れの季節ですが、鉄路にも様々な変化が。コロナで旅もできない。鉄道会社の収入も落ちているようだから、それで鉄路縮小なら寂しい。

バスの路線廃止のニュースはたくさんある。京急は長距離夜行バスから撤退するそうだ。うちの近所でもひとつ廃止になるとわかりびっくり。

バスやタクシーはだいぶ見直しが進んでいるようだ。鉄道よりは変えやすいのか。人口減にインバウンド減。コロナショックの影響は大きい。
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震災10年④朝毎読日よみくらべ

今年は10年という節目にあたり、メディアの震災報道、力の入れようが半端ない。NHKが最もすごい。映像アーカイブ、取材力、すごい。

新聞はどうか。被災者のストーリーを丁寧に切り取る、社会面ネタはやはり興味深い。いろんな人がいて、いろんな人生がある。

政府の仕事ぶりに対するチェックも徹底。お金を使いすぎたわりには人口が戻っていない。原発事故処理検証、自治体財政への心配もよく見かけた。

原発事故のイラスト解説、被災地の被害マップ、写真で見るいまの被災地。どれもビジュアルでわかりやすく検証。新聞の良さ。とっておきたい。

では11日朝刊は何が良かったか。一般紙4紙をよみくらべ。印象に残った記事を以下に。ホントは地方紙こそよみたい。どこかで探しましょう。

▼この海と 1面写真(朝)
▼石橋神戸大名誉教授に聞く(朝)
▼あの日の未来 未来の私(毎)
▼羽生結弦選手メッセージ全文(読)
▼前飯舘村村長インタビュー(読)
▼戻らぬあなたへ(読)
▼災害対処、世界の視点(日)
▼復興あの日ここから(日)
▼福島県知事インタビュー(日)

朝日の写真は毎回きれいで印象的。毎日は各面端にいろんな人々の声を掲載(マルハニチロ頑張れ)。日経は8ページ特集に厚み。

羽生くん、泣かせる。被災者みんなの息子ですな。読売は亡くなったお父さんへの家族のメッセージがとてもいい。どうしても当日は感傷的になる。
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