令和2年の初場所は徳勝龍が涙の初優勝。横綱が相次ぎ休場、豪栄道が大関陥落、高安が大関復帰に失敗と、上位陣は暗い話題ばかり。20年ぶりの幕尻優勝がなんとか感動的なストーリーを作った。

しかし、よくみれば、話題を独占しているのは、日本人の若手ではないか! しかも、なんとも地方色が豊かなのだ。モンゴル勢に席巻された角界が地方ローカルの色に塗り替えられようとしている。

千秋楽のNHKも優勝を争った徳勝龍の地元・奈良市と正代の熊本県宇土市に中継を出していた。盛り上がってる。奈良出身力士の優勝は98年ぶりで、熊本は初だったそうだ。応援にも力が入ろう。

五輪で選手が活躍するとこうなるが、相撲にはそれがなかった。いまようやく期待の若手は地方の星になりつつある。朝乃山は富山。炎鵬と遠藤は金沢市出身。強いな北陸。埼玉県は北勝富士(所沢市)と阿炎(越谷市)がいる。御嶽海の長野も珍しい。

かつて相撲が盛んだったのは北海道や青森。いまは鳥取、埼玉、高知と有力高校が支えている。これからは徳勝龍の近大のように、大学出身者も再び増えそうだ。うまくご当地を代表する力士が出れば、地域は盛り上がるだろう。茨城は稀勢の里に高安が続いたのにね。

ご当地力士は生きたゆるキャラといってもいい。相撲は年3回の地方場所のほか、全国各地をきめ細かく巡業する。強い力士は地域のアイコンになる。ハングリー精神にあふれた日本人力士、たくさん育ててみては。
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