ふるさと納税を巡る総務省と泉佐野市の争い。最高裁は国敗訴という結論を出した。意に沿わない自治体を強引に従わせようとした国の強権ぶりにダメ出しした格好だ。

これは泉佐野市がエスカレートしていたとしても、新たに作った基準を盾に、過去の問題行為をあげつらうのは行き過ぎであると指摘したものだ。処罰ありきの国の姿勢を問題視したことになる。

私は国の手法はややズルいと思いつつ、逸脱した自治体への歯止めは必要だと考えていた。いったんアウトにしても、再開できる調整も必要と思った。最高裁で法定主義に即して白黒ついたのはよかった。

ただ泉佐野市が勝訴と喜んでいる姿には違和感を覚えた。最高裁も目に余る部分ありと指摘している。ここは謙虚に受け入れるべきだ。自治というのは何でも有りではない。抑制あってこその自由だ。

何となくもやったとしたが、さすが最高裁。7月1日、判決をよく読むと、ふたりの裁判官の補足意見があった。宮崎裕子裁判官は制度設計での目配りの悪さを指摘し、林景一裁判官は泉佐野を諌めた。

弁護士出身の宮崎氏は税の趣旨と寄付行為の特徴との整理ができていないと指摘する。寄付金なら返礼品も構わないが、税となると対価はおかしい。自治体間の税配分の公平も損なったと喝破する。

林氏は外務省OBの元官房副長官補。判決に居心地の悪さを覚えたとし、泉佐野の姿勢は眉をひそめたとする。だとしても、この間の総務省の運びに疑問を呈さざるを得ず、と示唆している。

この2意見は私個人の違和感を解消してくれた。ぜひ多くの人に読んでもらいたい。国敗訴で「だから安倍政権は」とか簡単に言うべきではない。国会の審議する力、自治体の分権に取り組む姿勢、政府の横暴。最高裁は多くの問題をあぶりだしてくれた。
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