24日、山形・岐阜の両県で知事選があった。地方自治業界ではかなり注目されていたことだろう。当方も多大な関心をもって見つめていた。山形は現職が4選を果たし、岐阜も現職の5選という結果に。ともに現職が多選を果たした格好だが、やすやす勝利というわけではないだろう。

特に岐阜県はこれからの関係修復、けっこう大変だろう。地元は55年ぶりという保守分裂選に揺れた。事前に防げなかった野田聖子氏は現職勝利を多としつつ、県連会長辞任の方針を明らかにした。知事自身がふんぞり返ることなく、丁寧に与党と調整していかないと、混乱は続くのではないか。

山形も当初は現職の意向を巡りギクシャクした。どうも国会議員の地元を統べる力が落ちているように思えてならない。にらみを利かせて「黙っとけ」は息が詰まるが、かといって収拾がつかないほどの混乱も考え物。政治だから力の強い者が勝つのは当然。調整や話し合いなんてもとより効かない。

だが、政治家の力が弱まって低位で拮抗していれば、混乱の影響は大きくなる。最近の知事選で構図が錯綜している一因に国会議員の力の低下があるように思えてならない。やりたい人は手を挙げやすくなるし、誰が勝ってもおかしくないとなる。国会議員は自分のことばかり考えがちだし。

ただ収支は悪くないと思う。混乱の選挙戦>無風の選挙戦。となるのでは。有権者が考えるという点では岐阜の迷走も悪いことではない。岐阜県の投票率は前回から11ポイント上げて48%になった。対立や調整の失敗をばかだなぁと思わず、よおく県の将来を考えて投票所に行く。そういう効果はあった。

山形は前回12年より2ポイント下げたが62%。NHKによると「全国で初めて女性同士の争いとなった知事選挙」と説明していた。なるほど。これも選挙戦になったが故の思わぬ副産物だろう。家事よりも行政の舵、と考える女性が増えれば、そんな頼もしいことはない。

この週末は結構雪が降るのではと言われていた。コロナ禍の最中でもある。それなのに、知事選の投票率が悪くなかったのは、選挙への関心、県政の行方への関心がコロナと寒さに勝ったことになる。両県の知事選に至るまでの足取り、投票結果。他県もよく注視し、分析したほうがいいだろう。
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