安芸高田市の公募副市長が否決されたそうである。4115人の中から選ばれた30代の女性。若さと女性、まちづくりに関わってきた経験。もったいない。いろいろ疑問があるのでまとめてみた。

①副市長である必要はあるか
ネットで多くの記事を検索しただけだが、この女性は確かにユニークで市の発展に貢献してもらえそうだ。でも。副市長である必要はないのでは。議会に縛られ、自分の感性で働けなくなる恐れがある。違う形で関与して貰えないのだろうか。このまま終わりとするのはもったいない。1200万円もらって何でもやりますというのならよいが、そうすると今度は行政経験が問われる。

②市議会はちゃんと受け止めたのか
市長と市議会は対立しているようだから、わりとあっさり否決したように見える。どこまで議論したのだろう。ほかの地域もそうだが、首長提案の幹部人事、人も見ずに否決したれというところがある。国会もそうだが。市の発展になるかもしれないのだから、頭から否定せず、人物本位で判断してほしかった。少なくとも本人に来てもらって質疑するぐらいの手間はかけるべきではなかったか。それでも優先順位、コスト、効果などを考慮して否決というならわかる。

③市長はどこまで丁寧に説明したか
公募副市長は市長の発案だから、議会や市役所内でしっかりと意義や効果を説明できていないといけなかった。そこはどうだったか。議会と対立しているから強行、ではうまくいかない。地元の深い事情はわからない。が、市長が汗をかかないとうまく行かない人事だったと思う。私たちが丁寧に選んだから大丈夫です、とはいかないと思う。

④選考過程は透明だったか
4115人も応募があったというのは、これはこれでものすごいことだと思う。人口は2万8千人ほど。その7分の1でしょ。大きい。スター誕生のオーディションじゃないから、全候補者を明らかにする必要はないが、市民の共感を得るにはある程度、納得感のある選び方をしないといけない。書類選考と面談でこの人にというだけで理解されるかどうか。これは難しい。他に手段は見当たらない。全候補者紹介とはならないし。市長に選ぶ権限はあっていい。それでも、どうやって真剣味と丁寧さを選考過程に反映できたか。市民の後押しがあれぱ、議会の反応も違ったのではないか。

⑤副市長に何を期待するのか
市長は選んだ際「官と民の橋渡しができる即戦力」と語ったそうである。どの組織もそうだが、外部からの登用は活性化につながる。ただ処遇の仕方というのは結構難しい。役所もこんな有識者の意見を聞くと大臣が言うと、そんなにいい顔はしないだろう。刺激にする狙いはわかっても、そんなにうまく機能しない。いちど一緒に働いてみるというのはありかもしれない。やってみて、新たな仕事ができるとなったら、どんどん深入りしてもらう。トライアルから入るのも手ではないか。特に行政の場合、そんなに急ぐ必要はない。市長の任期を見据えて考えればよい。

いずれにしろ、公募副市長はトンデモナイ関心の高さをうかがわせた。議会否決で終わりとするのでなく、何か違う手立てを考えられないものだろうか。いちど公表された女性にやる気があり、余裕があるのならば、活躍の場をつくり、いずれ処遇という道を用意してもいいだろう。次を探ってほしい。
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