せっかくのGW。マキャベリの「君主論」を読んでみた。初めて。君主になりたいわけではないのだが、読む前と印象が激変した。

権謀術数でなんでもあり、というのが、読む前の印象だが、そんな受け取り方はかなり違うとわかった。君主に統治の基本を説いている。

君主たるもの、日々緊張感を持ち、国や領土の保全に目配りせよ、というのが主張の肝。自前の軍事力の整備を怠らず、貴族や国民から侮られるなと。

そのためには道徳的である必要はなく、平時から抜かりなくやらないと支持を失うぜ、と警告しているのだ。仕事ぶりで敬されるよう努力せよ、と説く。

なるほど。日本の政治家でそういう努力をしている人はどれだけいるか。あんまりいないから、政治不信が起きる。

臣下らの財産を横取りしたり、ぼんやりして決断もしなかったりすれば、信を失う。君主の地位を守るなら、自らを律してちゃんと働かないといけない。

極めて辛辣なメッセージ。「人間は恐れている人より愛情をかけてくれる人を容赦なく傷つける」「狐とライオンに学べ」あたりは自分も刻み込みたい。  

やはりこういう古典はきちんと読まないといけない。悪徳政治家容認論かと思ったら、とんでもない。心構えなき君主は去れ、ぐらいの政治論。

支持率ばかり追う政治家は多いが、民生の安定を図る仕事を選んだのなら、そのためには何をなすべきかを考え抜いてもらいたい。

現行の保守派が読むと、やはり憲法改正して軍事力を整えねばと合点しそうだが、きょうは憲法記念日、多くの政治家にじっくり読んでほしい本である。
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